名侦探柯南全集
さっそく治療が始まった
放射線療法に加え抗癌剤が投与される
話には利いていたが
この抗癌剤の副作用が
人間にどれほど苦痛を与えるものかも初めて知った
動悸が激しくなり手足が痺れ始める
腹痛に始まって
時間を置いて襲ってくる全身を切り刻むような痛み
吐き気がひどく嘔吐を繰り返し
ひどい下痢症状も起こす
苦痛に耐えかねて何度もナースコールを鳴らす
今度は
モルヒネが投与される
モルヒネは麻薬の一種だ
確かに痛みが和らぐが常にボーっとして
自分が眠っているのか起きているのかさえ
はっきりしない
周りから見たらおそらく廃人にでもなったかのように
見えるに違いない
意識がはっきりしている時は
死ぬことへの恐怖が襲ってきて
震えが止まらない
抗癌剤の副作用で髪がばっさり抜け落ちた時には
思わず悲鳴を上げた
そんな僕を家族はただ見守ることしか出来ない
見舞いに来た父が居た
頑張るんだ
神様はお前を見放したりはしない
その父親に見舞いの花を投げ付けた
神様なんかいるもんか!名侦
探柯隣の母が俯いて嗚咽を漏らした
探柯妻は顔を覆って病室を飛び出していた
探柯誰も僕の苦しみを分かっちゃいない
探柯だったら治療はもういい
探柯楽に死なせてくれ
探柯黙っていた父が静かに口を開いた
探柯お前はそんな気持ちのまま
探柯この世を去りたいのか
探柯今度は僕が黙った
探柯自分自身の感情が
探柯コントロール出来ない
探柯高額な医療費は両親が払ってくれている
探柯今まで散々面倒をかけてきたのに
探柯その恩返しどころか
探柯八つ当たりまでしている自分が情けない
探柯両親が帰った後に誰にも知られないように
探柯布団を被って泣いた
探柯その様子を見て横に座っている妻が泣いていることも
探柯気配で分かった
探柯本来なら僕たちは共働きの予定だったが
探柯少しでも僕に付き添いたいという妻は
探柯職場を辞め毎日病院に通ってきた
探柯その妻の心遣いさえも
探柯僕は受け止め切れていない
探柯僕は世界一の親不孝者で世界一の駄目な夫だ
探柯でも僕には今すべき事が分からない
探柯ただじっと死を待つだけの人間に
探柯一体何が出来るのか
探柯そう思うことに
探柯僕は段々と無気力で無感情の人間になっていた
探柯05何気にテレビのニュース番組を見ている時のことだった
探柯なにげに
探柯〔若者用語〕=>なにげなく年間の自殺者の数が三万人に上ると
探柯アナウンサーが伝えていた
探柯なぜ皆自ら死を選ぶのかな
探柯僕は生きたくても死ぬのに
探柯ボソッと呟いた僕の言葉を聞いて
探柯妻が目頭を押さえた
探柯彼女は余計な事は言わずに
探柯ただ僕を少しでも支えたい一心で
探柯いつもそばに居てくれる
探柯そんな彼女が本当に可哀想に思えて仕方なかった
探柯こんな僕のためにという思いがこみ上げてきた
探柯ごめんね
探柯妻はえぇというような顔で僕を見た
探柯君は僕と一緒にさえならなければ
探柯こんな思いはしなくて済んだのに
探柯(ため息)
探柯僕が居なくなったら
探柯誰かいい人を見つけて幸せになってくれ
探柯妻の顔つきが変わった
探柯今までに聞いたことの無い口調で
探柯捲し立てたなぜそんなことを言うの
探柯私はあなたと結婚して後悔なんかしていない
探柯初めて会った時から大好きだった
探柯付き合ってきた六年間は楽しい思い出ばっかりで
探柯結婚出来て本当に幸せだと思っているのに
探柯私の家族はあなたとあなたの両親だけなのに
探柯そこまで言って彼女は声を詰まらせた
探柯そして僕の胸に覆いかぶさると
探柯振り絞るような声で
探柯死なないと言って大泣きした
探柯その震える妻の両肩をそっと抱き締め
探柯僕も声を上げて泣いた
探柯妻の心の叫びを聞いた想いだった
探柯妻は両親を亡くして
探柯ずっと一人で生きてきた
探柯そして僕と結婚し
探柯新しい家族が出来たことを心から喜んでいた
探柯併し僕はこれ以上どうしていいか分からず
探柯何も言うことは出来なかった
探柯06治療の成果が上がっているのかどうか
探柯僕にはよく分からないが
探柯時々気分のいい日も有った
探柯そんな時は病院内や庭を散歩する
探柯散歩と言ってももう僕の足は動かず
探柯車椅子に乗ってだったが
探柯そんなある日院内の廊下で
探柯同じく車椅子に乗った少年に擦違い様にぶつかった
探柯僕はぼんやりとして前を見ていなかったからで
探柯少年の方が倒れてしまった
探柯母らしき人がそばに居たが
探柯ちょっと目を離した隙の出来事だったらしく
探柯慌てて駆け下り少年を抱き起こした
探柯ごめんなさい僕の不注意で
探柯君大丈夫
探柯少年はい立って元気な声で
探柯大丈夫だよでもおじちゃん
探柯今度からは気をつけてねと言った
探柯ごめんごめん
探柯今度からは気をつけるよ
探柯でも僕はまだおじちゃんじゃないぞ
探柯お兄ちゃんだ
探柯冗談まじりに言うと
探柯その少年は僕をまじまじと見ながら
探柯僕から見ればやっぱりおじちゃんだ
探柯と言ってけらけら笑った
探柯聞けばまだ小学校五年生だという
探柯その場は母親にも謝って分かれたが
探柯少年とは院内で度々出会って
探柯少しずつ話するようになった
探柯病室は離れていたが同じ病棟だったため
探柯彼も癌を患っている事は容易に分かった
探柯併しあえてそれは口に出さず
探柯僕は普通に会話することに努めた
探柯少年が自分の病気を知らされているかどうか
探柯分からなかったし
探柯彼がいつでも元気に振舞っている事に
探柯僕も勇気付けられていたからだ
探柯その度に自分を振り返って
探柯大人の癖に情けないと反省もした
探柯ある時少年がもうすぐ退院して
探柯家に帰れるんだと言った
探柯それは良かったなぁ
探柯じゃ学校にも戻って友達とも一杯遊べるね
探柯僕の言葉に少年は嬉しそうにうんと頷いた
探柯その代わり勉強も一杯しなくちゃいけないぞ
探柯少年はそんなの当たり前じゃん
探柯僕勉強好きだからと言って
探柯得意げに鼻をふんと鳴らした
探柯その
探柯仕草が妙に好笑しくて笑うと
探柯少年もつられて笑った
探柯ふいに少年がおじちゃんは何時帰れるの
探柯と聞いてきた
探柯内心ドキッとしたが努めて明るく振舞った
探柯まだ分からないんだけどね
探柯そんな先じゃないと思うんだ
探柯そうだお互いに退院したら一緒に遊ぼうか
探柯少年は本当約束だよと言って
探柯指切りを求めてきた
探柯指切り
探柯げんまん嘘ついたら
探柯針千本の~ます
探柯指切りして僕たちは一頻り笑った
探柯その様子を見て妻が微笑んでいるのが見えた
探柯久しぶりに僕の笑顔を見て
探柯彼女も喜んでいるようだった
探柯少年の母親も笑みを浮かべていた
探柯それからは互いの病室に時々遊びにも行くようになった
探柯欢迎加入
沪江部落-日语随心听小组讨论交流。南全
気休めはよしてくれ
どうせ僕は死ぬんだ!名侦
相关文章推荐:
版权声明
本文仅代表作者观点,不代表本站立场。
本文系作者授权本站发表,未经许可,不得转载。